第1回:E200/G800シリーズの歴史

E200/G800シリーズというのは、
1988年に『PC−G801』が登場して以来四半世紀が経ちますが、
いまだに後継機が第一線で活躍している息の長いシリーズです。

あなたの持ってる(もしくは今後手に入れようと思っている)ポケコンが、
いつ登場してどんな性能かを知っておくのもいいでしょう。


 1988年 

PC−G801

輝かしいG800シリーズの歴史はここから始まりました。

●CPUにZ80A(相等品)を搭載し高速演算を実現。
●24桁*4行表示のワイドな画面。
●パソコンライクなキー配列。
●RAMをフロッピーディスクの感覚で使えるプログラムファイル機能。
●情報処理技術者検定で使用されているCASLを搭載。
●CE‐T800を使いパソコンとの接続も可能。
●11ピンコネクタとZ80システムバス端子によりメカトロ実習に威力を発揮。

とまあ、これだけのスペックを引っさげて鳴り物入りでデビューしたポケコンです。
もちろん関数電卓としての使い勝手も抜群で、学校を卒業してからも電卓として
使っている人も多いのではないでしょうか。

PC−E200

G801の市販機バージョンです。
RAMは32KB内蔵されていて、1988年当時はすごく羨ましかったのを覚えています。
この頃はまだ家電量販店でもポケコンが普通に売られていました。

市販機らしく、ブザーが内蔵されていてBEEP命令で音を出す事も可能です。
(G800シリーズでも11ピンコネクタの3番と7番ピンにブザーをつなげば音は出ます。)


 1989年 

PC−G811

G801が登場してわずか1年しか経ってないのにいきなり進化しました。
まずはRAMが32KBに増えて市販のE200と同じになりました。
これだけでも凄いのですが、この機種からアセンブラが搭載されました。
他にも、学校教育機らしく『n進数演算プログラム』も追加されました。

あと、忘れがちですがこの機種からシステムバスへの入出力を行える
「INP」と「OUT」の命令が追加されました。
これにより、BASICプログラムからもキーの同時押し判定ができたり、
OUTを使った色々なテクニックが使えるようになりました。


 1990年 

PC−G802

目新しい機能は特に追加されていません。
G811のRAMが8KBのバージョンといったところでしょうか。
しかし、本体の右上に赤い文字でAssemblerと印字してあって
「G801とは違うのだよ」とでも言いたげな自己主張の強いかっこいい機種だと思います。


 1991年 

この年、ポケコンの外観に大きな変化が起こりました。
元々ポケットに入りづらい「ポケットコンピュータ」だったのに
さらにふた周りほど大きくなってしまいました。
これまでのG800シリーズは本体のカバーが若干弱いような気がしていましたが、
今回のフルモデルチェンジにより絶対に壊れないくらい頑丈なカバーになりました。

PC−G803

機能的にはG802と変わりません。
ただ大きく頑丈になっただけです。

PC−G813

この機種には何と当時の憧れだったC言語機能が搭載されています。
G801が登場してからわずか3年しか経ってないのに物凄い進化です。
RAMは32KBなので、機能的にはG811にC言語機能を搭載した機種になります。


 1993年 

この年から、キーボードの材質がゴムキーから樹脂キーに変わりました。
押しやすく、押した時の感触も心地よいものになっています。

PC−G805

今までのG80xシリーズはRAMが8KBというのが定番でしたが、
この機種ではなぜかRAMが32KBになっています。
G813からC言語機能を外した感じの機種です。

PC−G815

ポケコンの画面のドットに隙間がないフルグラフィックスの機種です。
これにより、BASIC命令にグラフィック関係の命令が追加されました。
その他にも、IF文に『ELSE』が使えたりBASIC命令が強化されました。

あとこの機種には、プログラムの編集中にカーソルを上下左右に自由に移動できる
「スクリーンエディタ」という機能も搭載していましたが、今までのG800シリーズに
慣れていた人にとってはあまり使いやすいものではありませんでした。

画面がフルドットになった為に表示部に負担がかかる様になってしまいましたが
CPUやクロック数は従来のものと変わっていないので
同じプログラムを実行した時、他の4行表示のG800シリーズより若干遅いのが玉に傷です。


 1996年 

PC−G820

なぜかRAMが8KBに戻ってしまいました。
内蔵アセンブラまでカットされた機能的に寂しいポケコンです。

ただし内蔵アセンブラは隠しコマンドで使える様になっていて、
CALL #5,&HC000[RETURN]とするとアセンブラが起動します。

PC−G830

目新しい機能は特に追加されていません。
G813の樹脂キーバージョンといったところでしょうか。

PC−G850

G800シリーズ史上、最も劇的に進化した機種です。
まずは画面の大きさが従来の機種の24桁*4行から『24桁*6行』に広くなりました。
G815で好評だったフルグラフィックスも継承されています。
グラフィック機能に『CIRCLE』『PAINT』が追加されています。

画面の1ドットの大きさが小さくなったり、キーのひとつひとつが小さくなったり、
キーボードの配置をいろいろ変えた結果、本体の大きさはこれまでのG800シリーズ
よりもコンパクトになっています。

CPUの性能が上がり従来の機種の約2.5倍の演算速度になりました。
初代G801が発表されて以来8年ぶりに処理速度が上がった事になります。

BASIC命令で構造化命令が使えるようになっています。
IF 〜 THEN 〜 ELSE 〜 ENDIF
REPEAT 〜 UNTIL
SWITCH 〜 CASE 〜 DEFAULT 〜 ENDSWITCH
WHILE 〜 WEND

その他にも、単四電池で動くようになったり、ACアダプターが使えるようになったり、
11ピンコネクタのインターフェイスが
3ビット制御から8ビット制御になったりと細かい変更点はいっぱいあります。


 2000年 

PC−G850S

G850の完成度があまりにも高かったため、
もうこれ以上の進化はないと思われていた頃にG850のマイナーチェンジ版がでました。
見た目にはほとんど変わってないのですが、
時代の流れなのか通信系の命令が強化されています。

他には、度・分・秒の計算にも対応していて『SHIFT』とテンキーの
『7』『8』『9』を押すと「゜」「’」「”」のキャラクタが表示されます。
なお、「”」のキャラクタはCHR$248に割り当てられています。


 2002年 

PC−G850V

PICマイコンのプログラミングが出来るようになりました。
※PICとは、演算装置、メモリ、入出力装置、タイマー等の周辺機器を備えた
 ワンチップマイコンです。(マイクロチップテクノロジー社製)

また、ディスプレイの液晶が変わって(画面のサイズはそのままです)
コントラストがはっきりとしていて、とても見やすくなりました。

省電力ディスプレイの採用により、更に消費電力が下がって(0.4w→0.2w)
使用時間が従来の70時間(PC−G850S)から90時間に延びています。


 2009年 

PC−G850VS

長く続いたG800シリーズの最終モデルで、PC−G850Vの後継機になります。
G850Vと比べて外箱のデザインが違うとか、説明書の記述が一部変わっているとか言われてますが
実際に使ってみてユーザー目線ではG850Vとの違いは全く感じられません。

もちろんわざわざ型式が変わっているので内部的には改良が施されているのでしょうが
ユーザーが特に気にするレベルではないかと思います。

製造年的にはG850VSの方が確実に新しい物なので、
オークション等で少しでも新しいポケコンが欲しいという人はG850VSを選ぶと良いでしょう。


 ????年 

PC−G820s
PC−G830s


発売年数は不明ですが、PC−G820とPC−G830のマイナーチェンジ版です。
G850SやG850VSとは異なり、型式の”s”は小文字になっています。

機能的には無印の機種との違いは無いかと思われます。
外観的な違いは、コントラストがはっきりとした液晶を採用していて無印よりも見やすくなっている事です。
G820sとG830sについて詳しくは第2回をお読みください。


 19??年 

PC−E220

発売年数は不明ですが、E200の海外バージョンです。
海外バージョンだけあって「カナ」や「¥」は無いみたいです。
E200をベースにしていてキーの数は同じですが、キー配置が若干異なっています。
(特に関数キーの配列が微妙に異なっているのが興味深いです。)

特筆すべき点は、アセンブラが内蔵されているところでしょうか。
あと「エンジニアソフトウェア」というのも気になります。



そして、PC−E220ではポケコン本体の右側にある
40ピンの拡張システムバス端子が存在しない事になっています。
よって他機種にあるコネクタカバーは存在せず、しゃれたデザインできれいに塞がれています。





<機能一覧>
機種名ディスプレイRAMアセンブラC言語PICグラフィックキーボードブザー
 E200 24*4 32KB   × × ×    ×  ゴム ○
 G801 24*4  8KB  × × ×   ×  ゴム ×
 G802 24*4  8KB  ○ × ×   ×  ゴム ×
 G803 24*4  8KB  ○ × ×   ×  ゴム ×
 G805 24*4 32KB  ○ × ×   ×  樹脂 ×
 G811 24*4 32KB  ○ × ×   ×  ゴム ×
 G813 24*4 32KB  ○ ○ ×   ×  ゴム ×
 G815 24*4 32KB  ○ ○ ×   ○  樹脂 ×
 G820 24*4  8KB  △ × ×   ×  樹脂 ×
 G830 24*4 32KB  ○ ○ ×   ×  樹脂 ×
 G850 24*6 32KB  ○ ○ ×   ○  樹脂 ×
 G850S 24*6 32KB  ○ ○ ×   ○  樹脂 ×
 G850V 24*6 32KB  ○ ○ ○   ○  樹脂 ×
 G850VS  24*6 32KB  ○ ○ ○   ○  樹脂 ×

  おまけ  

シャープのポケコンと言えば、GシリーズやUシリーズのような学校教育機用と、
それらの市販機バージョンのEシリーズが有名ですが、
実はそれら以外にも限られた用途で使われているポケコンがあります。
(建築現場、保険の計算、競馬・宝くじの予想etc)

Yahooオークションでたまたま珍品を見つけたので、ちょっと紹介しておきます。

PC−E200DX


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